第3回 仕切り直し

相変わらず映画は観ているのですが、なんとなく更新を休んで早3年が経ってしまいました。世の中はコロナ禍が一服して外出時にマスクをしなくてもよくなり、飲食店の時短営業もなくなりました。

コロナの流行が始まったころ、行動に制限がかかって外出できなくなったときは「これは自宅でゆっくりできる。世の中全体が夏休みにでも入ったものだな」と呑気に考えていたのですが、コロナ期間も転職や起業や資格取得にいそしんでキャリアを積み上げている人や結婚や子育てで大きなライブイベントを迎える人など、コロナがあってもなくても皆忙しそうに人生のステージを進めているようでした。コロナが止めたのは人のハード面の行動だけで、ソフト面の行動にはあまり影響しなかったようです。

僕はと言えば、毎日粛々と進める仕事があり、その仕事も工夫次第で面白さを感じることができるようになりました。コロナ禍で在宅勤務が始まり、働き方改革という流行に乗ってコロナ禍明けの現在も在宅勤務を続けることができています。ときどき会社に出かけて同僚と打合せをします。四半期に一度ほどは懇親会も開かれるようになりました。在宅勤務で顔を合わせる機会が少ない分、懇親会にはきちんと参加してコミュニケーションをとるようにしています。

最近、リドリー・スコット監督の「ナポレオン」という映画を観ました。映画を年に何本観ようという目安を自分の中に持っていて、ここ数年は毎年クリアしています。今のところ飽きも来ずに観たい映画が次々と見つかっています。2024年はブログはせめて月に一度は更新しようと思いますが、、、仕事や日常生活で変化はあるはずですが、映画は変わらず観続けます。

ときには昔の映画も

ダーティハリー2 (Magnum Force)」1973年、テッド・ポスト監督

海が近く風光明美なサンフランシスコの明るい街を舞台に、ときには法を超えてでも悪党を退治する敏腕刑事ハリー・キャラハンの活躍を描く映画シリーズの第2作です。全部で5作あり、どれも面白かったですが僕は2が一番面白かったと思います。

ダーティハリー」シリーズは殺人を犯すような凶悪犯を退治するのが物語の本筋です。やっぱり人殺しをするような犯人ですからシリーズを通して気が触れている犯人が多いのですが、2の犯人だけは狂気の一言では片付かない動機を持っています。サイコパス系の犯人が苦手(というか落ち度がない人が死んじゃう映画が苦手)な僕としては安心して観られる映画でした。

このシリーズ以降の刑事ものの作品は、みな大小の影響を受けているそうです。日本の刑事ドラマの「あぶない刑事」なんてまさにそう。舞台はサンフランシスコによく似た横浜、サングラスをかけてバイクに乗る舘ひろしはまさにダーティハリー2のハリー・キャラハン刑事です。

シリーズの5作の物語はそれほど密に連携しておらず、どれから観ても他の作品のネタバレになることはありません。4のみクリントイーストウッドが監督も務め、5にはなんと駆け出しだったころの芸歴10年目のリアム・ニーソンが出てきます。

  


ダーティハリー2(プレビュー)

ダーティハリー2(字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

ミステリー・ルネサンス

「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 (Knives Out)」

古城のような広大な屋敷、密室で起きた富豪の死、相続に問題を抱える家族、どこからともなく現れる名探偵。。。往年のミステリー作品の要素を意図的にちりばめた、古くて新しい映画でした。面白かったです。

007のダニエル・クレイグ主演、キャプテンアメリカで有名なクリス・エヴァンスが重要な役どころで出演します。007では主人公なのに近寄りがたいダークヒーローでしたが今回は字幕では敬語を崩さない普通の紳士な名探偵です。お人好しのダニエル・クレイグが観られる珍しい映画かも。

内心、監督がスターウォーズEP8のライアン・ジョンソンということで、EP8はあまり面白くなかったので今作の面白さは心配だったのですが杞憂でした。監督だけでなく脚本も担当しており、スターウォーズのように全体のうちの一つのパートを担当する監督ではなく、ゼロから物語を作れる作家性の高い作品で良い仕事をする監督なのかも知れません。早くも続編が決まったそう。今回はDVDになるまで待ちましたが、続編はぜひ映画館で観たいと思います。

ただ、邦題のサブタイトルはなくていいんじゃないかな。。。

 


ダニエル・クレイグ&クリス・エヴァンスら出演!映画『ナイブズ・アウト(原題) / Knives Out』海外版予告編

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(字幕版)

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(字幕版)

  • 発売日: 2020/07/08
  • メディア: Prime Video
 

 

名優×名監督

「荒野の誓い (Hostiles)」

1892年のアメリカ。アメリカ陸軍の大尉が原住民の酋長を故郷まで送り届けるお話です。クリスチャンベイル主演、スコットクーパー監督の作品です。

2013年公開で、この映画と同じくクリスチャンベイル主演、スコットクーパー監督の「ファーナス/訣別の朝 (Out of the Furnace) 」という映画がとても面白く、同じ監督・同じ主演の作品ということで期待しないわけにいきませんでした。近所のツタヤに行ってもいつもレンタル中で、ツタヤに通うこと3回、ようやく観ることができました。

ただ、この予備知識なしで観た方がこの映画は楽しめたかな。。。今作もそれだけ観たらとても面白い映画なのですが、それにしても「ファーナス」が面白かったのです。観ているだけで不思議な気力が湧いてくる作品でした。今作はファーナスでクーパーとベイルが立てたハードルを超えられなかった印象です。

この映画ではインディアン戦争については一貫して否定的なトーンで語られ、原住民の処遇やインディアン戦争の是非など、アメリカの歴史問題に触れる硬派な作品ではあるのもの、エンターテインメントに寄り過ぎて作品のテーマが弱まってしまったようにも思えます。

 


『荒野の誓い』予告編 9月6日(金)公開

荒野の誓い(字幕版)

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  • 発売日: 2020/07/03
  • メディア: Prime Video
 

 

「ファーナス/訣別の朝」面白かったです 


映画『ファーナス/訣別の朝』予告編

ファーナス/訣別の朝 DVD

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  • 発売日: 2016/03/16
  • メディア: DVD
 

 

東京に暮らす

「劇場」

この映画は新作映画ですが、映画館とAmazon primeで同時公開です。僕はAmazonで観ました。最近またコロナが盛り返してきたようで映画館には行きづらく、映画製作者にきちんとお金が入るのであれば、このような配信形式の新作映画は大歓迎です。

又吉直樹さんの同名小説を映画化した作品。劇団員の主人公とその彼女のお話です。主人公がとにかくクズで彼女を思いやる様子がほとんどないのですが、彼女の方は献身的に主人公を支えます。観客は「そんな男をなんで捨てないの?」と全編を通して疑問を抱くのですが、この彼女の心情に思いを馳せることがこの映画のテーマなのでしょうか。

ラストシーンは映像でしか表現できない演出だったし、観て損のない話題作です。いい映画だったけど、それにしても主人公がクズすぎる笑 又吉さんの小説は文学作品と言っても良いくらい文体に特徴があって、小説では劇団員やライターなどエンターテインメント業界で働く人の漂泊の雰囲気が表現できていたと思います。映像作品では小説にあった微妙な雰囲気が引き出し切れておらず、役者さんが演じることで主人公のクズっぷりが強調されてしまったようです。映画を観て作品に興味を持てた人はぜひ小説の方も読んでもらいたいと思います。

 


映画『劇場』予告

劇場

劇場

  • メディア: Prime Video
 
劇場(新潮文庫)

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7月の金曜日に観たい映画について

「バトル・ドローン (Battle Drone)」

廃墟で傭兵部隊とロボットが延々と戦うお話。ひねりなり。B級映画にありがちな予算の不足を過剰なセリフで補うところがなく、撮影できた映像を軸に物語を組み立てる丁寧さがあります。登場人物の個性の調和がとれており、傭兵部隊のメンバー一人ひとりに画面の賑やかしにとどまらない存在感があります。

バトル・ドローン(字幕版)

バトル・ドローン(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

「KIN/キン (Kin)」 

三人の登場人物の逃避行が物語の軸。マフィアに追われながらカジノやクラブなど夜の街を転々と移動するお話なのですが、追手がいるから方向性のある旅になり、三人の絆もできてくる。不思議と悲壮感がなくおとぎ話のような心地よい映画です。SF映画と銘打たれていますが、SF要素は添え物程度です。

KIN/キン(字幕版)

KIN/キン(字幕版)

  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: Prime Video
 

 

「オールド・ガード (the old gard)」

何世紀も前から世界の平和のために暗躍していた不死身の傭兵の話。不死身の謎を収益につなげたい私企業が傭兵部隊に襲い掛かります。傭兵部隊のメンバーは年齢(?)・人種・趣味嗜好がそれぞれ異なり、観客の興味を引くキャラクター作りです。ベトナム俳優のゴータインバンが出ると聞いて観たのですが出番は少なめ。2作目に期待です。


『オールド・ガード』予告編 - Netflix

今年のスタローン無双

ランボー ラスト・ブラッド (Rambo: Last Blood)」

大切な家族のために戦う、というストーリーはあるものの、あくまで添え物です。ランボー(というかスタローン)がひたすら暴れまくるお話です。元はベトナム帰還兵のつらさを描く物語でしたが、ランボーシリーズはランボー3以降は平易なアクション映画のシリーズになっており、今作でも情状酌量の余地が皆無な悪人が次々とスタローンに粛清されます。ランボーの爽快なアクションシーンにつなげるために前半の家族のパートが用意されたようなものでしょう。

スカッとする映画で、観に行って良かったけど、別に主人公がランボーじゃなくても成り立つ物語だと思います。やはり世界のどこかの戦場で戦い続ける、という人の一生を描くのは難しいのでしょうか。ロッキーみたいに「ボクシングがんばってたけどいつの間にかボクサーもやめて後進を育てながら自分はレストラン経営」の方が共感しやすいです。

この映画を観るために久しぶりに電車に乗って、3カ月ぶりに映画館に行きました。映画館で観る映画は迫力が違います。予告編だけ観てても楽しかったです。COVID-19が心配でしたがスタローンの映画が観たかったのと、今じゃないと映画館なんて行けないと思ったので行きました。緊急事態宣言が解除されて外出の自粛は緩和されましたが、COVID-19の新規感染者の数はまた少しずつ盛り返していて、いつまた世の中が停滞するかわかりません。

 


ランボー最後の血戦!『ランボー ラスト・ブラッド』本予告編