アベンジャーズ・その後

アベンジャーズのスカーレットウィッチと日本語が下手なホークアイが主演の「ウインド・リバー」と、マイティソーとバルキリーが主演の「メン・イン・ブラック:インターナショナル」観ました。

ウインド・リバーアメリカ原住民が多く暮らすオハイオ州で起きた傷害致死事件の話。アメリカの地方なので警察の目が満足に届いておらず、寒くて雪深いから娯楽も少なく、なぜそんなところに住んでいるのかと言えば入植者にそこに住むことを強制されたから、らしい。

さすがに実際のアメリカの地方がこうだとは思わないけど、まさかの社会派映画でした。アベンジャーズでもどちらかと言えばシリアス担当だったホークアイとスカーレットウィッチの雰囲気によく合っています。

 MIBの方は明るくて楽しい娯楽作品。疲れて細かいことを考えたくないときに観てスカッとできる映画でした。ウインドリバーとMIB、きれいにターゲット層を分けた物語でなりました。

出番はあんまりないけどとりあえず有名な役者を広告塔に起用して、作品の質はともかく集客(興行収入)だけはしっかり狙うっていう映画の作り方があることに最近気づいてしまったのですが、この2作は違いました。


映画『ウィンド・リバー』日本版予告編

ウインド・リバー(字幕版)

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  • 発売日: 2018/12/04
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映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』予告 6月14日(金)公開

メン・イン・ブラック : インターナショナル (字幕版)

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  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: Prime Video
 

 

伝説が壮絶に終わる

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け (Star Wars The Rise of Skywalker)」観てきました。

いまだから言えるけどエピソード8があんまり面白くなかったので今作も不安だったのですが、今作ではエピソード7と8で広げた伏線を回収しきれいに3部作を締めくくれてました。監督はエピソード7でも監督だったJ.J.エイブラムズ。「スタートレック」シリーズにも監督作品があり、シリーズもので困ったらとりあえず呼ばれていい仕事をする人です。

今作ではレイの出自が明らかになり、7-8-9作の3部作だけでなく、1971年から続いたエピソード4から続いた物語に一応の区切りをつけることができています。宇宙中を巻き込む物語をきちんと描けてそれを終わらせられる構成力はすごい。

アベンジャーズに挑戦しようとして製作ペースを上げた無理がたたって失速した時期もあったけど、架空の物語をひとつの神話と呼べる領域まで持ち上げることができていると思います。2019年の締めくくりにふさわしい壮大な映画でした。

一方、地上では。映画のチケット料金は普通は1800円のはずですが、僕が観た映画館では1900円にこすっからい値上げをされておりました。観客ははるか彼方の銀河系の物語を観に来たのに、映画館の方は手の届く範囲の観客の足元を見ていたようでした(笑)

 


「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」最後の予告篇 世界同時解禁

Star Wars: The Rise of Skywalker (Main Trailer Theme)

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トランスポーター?

「運び屋(原題: the mule)」観ました。

80代のお年寄りに車を運転させて決まった場所に麻薬を運ばせるだけの映画なのですが、面白かったです。(高齢ドライバーが主役の映画なので声高にはおすすめできないのですが。。。)

主人公の老ドライバーは説教臭いことや小狡いことは言わないのですが、当初は斜に構えたように応対していた麻薬の売人もいつの間にか主人公に親しく敬意を持って接するようになります。相手が警察官でも銃を持った売人でも麻薬王でも、時折冗談をはさみながら常に堂々と話せる包容力がすごいです。きちんと人生経験を積んだ人は言えることが違うのでしょうか。

自分の意見は押し付けない、相手のことも理解しようと歩み寄る、反省すべきところは反省し人との関わりを保ち続ける。老齢に差し掛かってもこういうことができる人になりたいと思いました。本作の原題the muleは「頑固者」の意。テーマは麻薬を運ぶことではなくて、あくまで主人公の人柄です。

さて、麻薬の運び屋は一回運ぶだけで数百万円~数千万円の報酬になる描写がありました。麻薬王バーテンダーや使用人が常駐する豪邸住まい。麻薬の成分から危険な部分を取り除き、違法性をなくせば相当いいビジネスになると思うのですが。。。そんなことできたらもう誰かがやってるか(笑) 


クリント・イーストウッド監督・主演『運び屋』特報

運び屋(字幕版)

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インドとパキスタンの車窓から

「バジュランギおじさんと小さな迷子(原題: Bajrangi Bhaijaan)」観ました。

インドで迷子になったパキスタン人の女の子を見ず知らずのおっさんが親御さんのもとに届ける、という映画です。女の子がインドで迷子になって途方に暮れているところで街のお祭りに遭遇し、そのお祭りの踊りでやけに存在感を発揮してるおっさんがいると思ったらこの人が主人公でした。主人公の明るさとか真っすぐさがすがすがしい、いい映画でした。

この映画でひとつ勉強になったのが、インドとパキスタンの仲の悪さ(^^;; ビザ持たずに入国したらスパイ容疑で即逮捕でしかも拷問にかけられるって相当の仲の悪さです。パキスタンとインドが分離するときに起きた戦争がきっかけだそうですが、その戦争が1947年だから戦争時代をリアルタイムで経験している人も多いでしょう。パキスタンとインドの対立は現在進行形なのでしょうか。

それからもう一点。インドは一つの州だけで人口が一億人くらいいて州ごとに言語も違います。だからインドは州が違ったらほぼ別の国だと、インドの人から聞いていたのですが、この映画のインドは意外と一つの(コンパクトな)国にまとまっていました。

いや映画の着眼点が違うか(笑) 明るくて前向きで楽しいいい映画でした。

 


映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』予告編

バジュランギおじさんと、小さな迷子 [DVD]

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第一作目のフォーマット

ベトナム映画の「第三夫人と髪飾り(原題:Vo Ba)」観てきました。

ベトナム語は「名詞+形容詞」の語順で、Voは妻、Baは3という意味だから、邦題はあながち間違っていないものの、タイトルに入れるほど髪飾りの描写はなかった気がします。(ちなみにどう発音するのかはわかんね)

日本でいうと明治時代の、19世紀の貴族(?)の暮らしを描いた映画でした。ちなみにこの映画、主人公が第3夫人として嫁いでくるところから始まるのですが、物語らしい物語がありません。起承転結ではなく起承承承という感じです。

ハイキー気味に仕上げた明るくてキレイな映像とともに、自然と調和した屋敷の中での日常の暮らしを淡々と描いています。大きな出来事は少なく静かな日常が続く、ベトナムらしいベトナム映画でした。出演してる役者も今作以外の作品で何人か見たことがある人でした。ある意味、大きな冒険をせずにベトナム映画のフォーマット通りに作った映画と言えなくもない。

ベトナムの日常生活を描く映画は、物語らしい物語が存在しなくて登場人物の男の中に必ず浮気をしている人がいる、という特徴があるのですが、本作でもそれは健在です(笑) ベトナムでは浮気が蔓延っているのでしょうか?

 


Bunkamuraル・シネマ10/11(金)よりロードショー『第三夫人と髪飾り』予告編

神はよしとされた

ターミネーター:ニュー・フェイト (Terminator: Dark Fate)」観てきました。

作品の内容を見ると邦題の「ニューフェイト」の方がしっくり来る気がします。今までにあったいくつかの枠組みを取り払い、ターミネーターの物語の骨組みを洗い出した良作でした。面白かったです。

ただ、やっぱりターミネーターは2作目が頂点。このままだと本当に世界が滅びそうな焦燥感とか、いくら撃ってもすぐに再生する敵のターミネーターの緊張感とか、2作目にはあったエネルギーを今作では超えられていない印象です。観客の目が肥えてしまったのかもしれません。

ターミネーター2」以降は「ターミネーター3('03)」「ターミネーター:サルヴェーション('09)」「ターミネーター:ジェニシス('15)」など、ターミネーターの3作目とされる映画が次々と作られてはリブートされる(なかったことにされる)という状況が続いていたのですが。

コンピューターが核戦争を起こして世界が終わるという未来は「一つの可能性としての未来」であるとターミネーターの第一作ですでに語られており、今回の「ニューフェイト」が作られたことで、これらのターミネーター3作目の作品もすべて「一つの可能性」であることが示されたことになります。ジェームズキャメロンは続編の天才って広告に出てしましたが、その通りでした。さすがの構成力です。

この作品がターミネーターシリーズの最終作だとしたら、きれいにまとまった最終回にふさわしい作品だと思います。

 


映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』本予告【新たな運命編】11月8日(金)公開

ターミネーター2 [DVD]

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祈りと日

沈黙 -サイレンス-」観ました。本屋で原作の小説が平積みされており、読んでみたら面白かったので映画も観てみたのです。

1700年代(江戸時代の半ば)に日本にキリスト教を布教しに来たポルトガル人の宣教師の話です。史実ではなくフィクションで、遠藤周作の時代小説「沈黙」をハリウッドで映画化したものですが、日本人役はすべて日本人の役者が担当しています。ハリウッド映画にありがちなアジア系アメリカ人の役者による「英語はやたら流暢なのに日本語のセリフがおかしい」という状況が起きない良作です。

小説ではポルトガル人の主人公と日本人との会話がスムーズに進み過ぎてちょっと違和感がありました。映画ではきちんとその辺りも説得力のある描写になっていてよかったです。

史実の宣教師のザビエルなんて日本語はほとんど話せず、ヤジローという日本人の小姓の通訳に頼ってたわけですから。ザビエルはろくすっぽ勉強もせずに「日本語は悪魔の言語だ」なんて言ったそうですが、僕は言いたい。「あんたのカッパみたいな髪型の方が中年の男にとっては悪魔だ」と。ポルトガル語を勉強してから言ってやりたいです。

言語の方の考証はしっかりしてたのですが、そういえば江戸時代にしては月代を剃っている人が少なかったです。ザビエルの髪型(トンスラ)や中国の辮髪は確かに僕には変わった髪型に見えてしまうのですが、やはり月代を剃って髷を結う僕らには見慣れたあの髪型も外国の方には受けが良くないのでしょうか。

沈黙 (新潮文庫)

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