祈りと日

沈黙 -サイレンス-」観ました。本屋で原作の小説が平積みされており、読んでみたら面白かったので映画も観てみたのです。

1700年代(江戸時代の半ば)に日本にキリスト教を布教しに来たポルトガル人の宣教師の話です。史実ではなくフィクションで、遠藤周作の時代小説「沈黙」をハリウッドで映画化したものですが、日本人役はすべて日本人の役者が担当しています。ハリウッド映画にありがちなアジア系アメリカ人の役者による「英語はやたら流暢なのに日本語のセリフがおかしい」という状況が起きない良作です。

小説ではポルトガル人の主人公と日本人との会話がスムーズに進み過ぎてちょっと違和感がありました。映画ではきちんとその辺りも説得力のある描写になっていてよかったです。

史実の宣教師のザビエルなんて日本語はほとんど話せず、ヤジローという日本人の小姓の通訳に頼ってたわけですから。ザビエルはろくすっぽ勉強もせずに「日本語は悪魔の言語だ」なんて言ったそうですが、僕は言いたい。「あんたのカッパみたいな髪型の方が中年の男にとっては悪魔だ」と。ポルトガル語を勉強してから言ってやりたいです。

言語の方の考証はしっかりしてたのですが、そういえば江戸時代にしては月代を剃っている人が少なかったです。ザビエルの髪型(トンスラ)や中国の辮髪は確かに僕には変わった髪型に見えてしまうのですが、やはり月代を剃って髷を結う僕らには見慣れたあの髪型も外国の方には受けが良くないのでしょうか。

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)