色彩と意識について
「永遠の門 ゴッホの見た未来 (At Eternity's Gate)」
観たいと思ってたけど予定が合わず、DVD化してようやく観られました。日本が明治時代だったころに活動した画家ゴッホの晩年が描かれる映画です。元々心に病を持っていたゴッホが、ゴーギャンとの同棲の解消を経てさらにバランスを崩し、亡くなるまでの顛末を描きます。
この映画では登場人物(主にゴッホ)をアップで映し出して語らせ、人物の内面を描き出すカットが多用されます。副題にある「ゴッホの見た」景色を表現するのに効果的な演出です。通説では心を病んで自死してしまったとされるゴッホですが、この映画ではゴッホの死因も通説とは変えてあります。ゴッホの心象では時間の概念が消失しており、それがタイトル「At Eternity's Gate」ともつながっており、それを語るゴッホが一体どんな景色を見ていたのか興味をかきたてられます。(でもそこまでしっかり描いてくれるのなら死因も通説どおりにしてほしかったなあとも思います。)
ゴッホ役のウィレム・デフォーさんの演技力で成り立つ映画でした。 享年37歳のゴッホを当時62歳だったデフォーが演じて、やっとゴッホらしさを表現できたということです。ということは、ゴッホはやはり普通の人とは異なる、普通の人よりもずっと深く物事を見ていたのかもしれません。そんな想像をかきたててくれる映画です。