アメリカのいま

「スケート・キッチン (Skate Kitchen)」

ニューヨークでスケートボードに熱中する女の子と仲間との交流を描くお話。ストーリーは特にありません。

アメリカの家庭の離婚率は5割を超えると聞いたことがあるのですが、この映画の主人公はメキシコから移民の母子家庭です(映画の配役にしても似てない親子だなと思ったらお母さん役の人はこの映画の監督でした)。 作劇的には片親にした方が親役ひとり分の人件費を払わなくていいし、片親になってしまった家族の歴史など、物語の本筋と関わらないところで物語に深みを与えられるので、作劇的には効果的な演出なのかもしれませんね。

普通の女の子ではなく「スケートボードが上手な女の子」を主人公に据え、観客の注目を集める工夫があります。やけにスケボーが上手だと思ったら主演のRachelle Vinbergさんは役者もできるプロのスケートボーダーでした。この映画はVinbergさんの自伝的な側面もあるそうです。

つながりはスケートボードのみ、そこに登場人物がいるだけ。世界の首都とも言われるニューヨークで、家族や友達との細かいいさかいや、移民・人種・ジェンダーなどのアメリカ社会にある捉えどころのない命題の中を登場人物たちが漂います。世界はそこに広がっているが、羽ばたいていくことがまだできない。これから人生を送る人たちの葛藤がすがすがしく描かれていた映画でした。

 


『スケート・キッチン』予告編(15歳未満は見ちゃダメ)

スケート・キッチン(字幕版)

スケート・キッチン(字幕版)

  • 発売日: 2020/04/01
  • メディア: Prime Video