2020-01-01から1年間の記事一覧

ときには昔の映画も

「ダーティハリー2 (Magnum Force)」1973年、テッド・ポスト監督 海が近く風光明美なサンフランシスコの明るい街を舞台に、ときには法を超えてでも悪党を退治する敏腕刑事ハリー・キャラハンの活躍を描く映画シリーズの第2作です。全部で5作あり、どれも面白…

ミステリー・ルネサンス

「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 (Knives Out)」 古城のような広大な屋敷、密室で起きた富豪の死、相続に問題を抱える家族、どこからともなく現れる名探偵。。。往年のミステリー作品の要素を意図的にちりばめた、古くて新しい映画でした。面白かっ…

名優×名監督

「荒野の誓い (Hostiles)」 1892年のアメリカ。アメリカ陸軍の大尉が原住民の酋長を故郷まで送り届けるお話です。クリスチャンベイル主演、スコットクーパー監督の作品です。 2013年公開で、この映画と同じくクリスチャンベイル主演、スコットクーパー監督の…

東京に暮らす

「劇場」 この映画は新作映画ですが、映画館とAmazon primeで同時公開です。僕はAmazonで観ました。最近またコロナが盛り返してきたようで映画館には行きづらく、映画製作者にきちんとお金が入るのであれば、このような配信形式の新作映画は大歓迎です。 又…

7月の金曜日に観たい映画について

「バトル・ドローン (Battle Drone)」 廃墟で傭兵部隊とロボットが延々と戦うお話。ひねりなり。B級映画にありがちな予算の不足を過剰なセリフで補うところがなく、撮影できた映像を軸に物語を組み立てる丁寧さがあります。登場人物の個性の調和がとれており…

今年のスタローン無双

「ランボー ラスト・ブラッド (Rambo: Last Blood)」 大切な家族のために戦う、というストーリーはあるものの、あくまで添え物です。ランボー(というかスタローン)がひたすら暴れまくるお話です。元はベトナム帰還兵のつらさを描く物語でしたが、ランボーシ…

イタリアは一日にしてならず

「LORO 欲望のイタリア (原題:LORO)」 イタリアのベルルスコーニ首相の半生を描く映画です。予告編に堂々と「国民無視!」って出てたり、公式サイトに「トランプなんて子供だましさ」とか書かれてるのでお金と権力の乱用をふんだんに盛り込んだ相当品のない…

色彩と意識について

「永遠の門 ゴッホの見た未来 (At Eternity's Gate)」 観たいと思ってたけど予定が合わず、DVD化してようやく観られました。日本が明治時代だったころに活動した画家ゴッホの晩年が描かれる映画です。元々心に病を持っていたゴッホが、ゴーギャンとの同棲の…

6月の金曜日の夜に観たい映画について

「サイバー・ゴースト・セキュリティ (Nekrotronic)」 インターネットの世界に潜みダウンロードされたアプリを通して人を襲う悪魔を退治する、という今年観た映画の中でわけわか度maxな映画。冒頭5分ほどで「これはハズレ映画ひいちゃったかな」と思ったので…

分断の切り口について

「リチャード・ジュエル(Richard Jewell)」 爆発物を発見して一躍注目を浴びるも、犯人ではないかと疑いをかけられメディアと警察に追及される警備員の話。実際にあった1996年のアトランタテロ事件をもとにした映画で、御年90歳のクリント・イーストウッド…

アメリカのいま

「スケート・キッチン (Skate Kitchen)」 ニューヨークでスケートボードに熱中する女の子と仲間との交流を描くお話。ストーリーは特にありません。 アメリカの家庭の離婚率は5割を超えると聞いたことがあるのですが、この映画の主人公はメキシコから移民の母…

To be, or not to be

「オフィーリア 奪われた王国 (Ophelia)」 シェイクスピアの「ハムレット」を、ヒロインのオフィーリアの視点で描いた二次創作の小説を映画した作品。。。だからハムレットを現代版にアレンジした物語だと思っていいでしょう。主役はスターウォーズのレイ役…

人生の脚本について

「コレット (Colette) 」 フランス人作家ガブリエル・コレットの伝記映画です。 コレットが作家になってから最初の夫と離婚するまでの、20歳~30代半ばまでの半生が映画のベースになっています。映画のあとの実際のコレットさんは、舞台役者をやりつつ戦争(…

5月の金曜日に観たい映画について

「スノー・ロワイヤル (Cold Pursuit)」 家族を失った除雪作業員が麻薬組織に復讐するお話。一見クールだけどキレたら暴れまくる役柄はリアム・ニーソンの持ち芸ですね。原住民と白人の距離感や貧富の差、蔓延する薬物など、ブラックユーモアな演出に織り交…

三匹が殴る蹴る

「トリプル・スレッド (Triple Threat)」 タイトルの通り、3人のアクション俳優が主演の格闘アクション映画です。一応、テロリストに故郷を襲われた主人公が復讐に立ち上がる、という大まかな物語はあるものの、こちらはあくまで添え物。冒頭の東南アジアの…

インドの本格時代劇

「パドマーワト 女神の誕生 (Padmaavat)」 面白かったです。少々尺が長いとも思うのですが、無数の騎馬武者の軍勢が激突する合戦シーン、ところどころ挟まれるミュージカルのシーンや、インドの豪華な宮殿の映像は見ごたえ抜群。今まで観たインド映画の中で…

金曜日の夜に観たい映画について

「アップグレード(Upgrade)」 事故で全身麻痺の重傷を負った主人公をAIチップを組み込むハイテク手術で蘇生。事故を負わせた犯人に復讐する話です。主人公を親身に補佐するAIですが実は。。。 物語のテンポもよく、与えられた予算の中できれいにまとまった映…

それはすでに我々のなかにいる

「遊星からの物体X ファーストコンタクト (The Thing)」観ました。 南極で発見された宇宙生物「物体」を調査中、いつの間にか覚醒した物体につぎつぎと、本人たちも気付かないまま乗っ取られ、まだ乗っ取られていない人に次々と襲い掛かる。。。というお話。…

詩人と同じようにスペンサーだ

「スペンサー・コンフィデンシャル (Spenser Confidential)」観ました。 ロバート・B・パーカーの小説シリーズに着想を得た物語です。原作の小説シリーズは全部で39作もあり、僕はまだ数冊しか読んでないのですが、少しずつ楽しみに読んでいます。 ちなみに…

走り続ける力

「さらば愛しきアウトロー (The Old Man & the Gun)」観ました。 御年83歳の主演ロバート・レッドフォードの俳優引退作。人生の中で100回近い銀行強盗を成功させ、何度刑務所に送られてもその都度脱獄した、実在の人をテーマとした映画です。 わざわざ捕まっ…

盗まれた街

「コンテイジョン (Contagion)」観ました。 2011年公開。中国で発生した未知の感染症が世界中に広がり多数の死者が出るというお話です。10年近く前の映画ですが、奇しくも現在流行しているコロナウィルスによる世の中の影響を理解するのに役立つシミュレーシ…

故郷忘じがたく候

「パラサイト 半地下の家族 (韓:기생충, 英:Parasite) 」観ました。 豪邸に暮らす裕福な家族に、失業中の家族がそろって使用人として雇われるお話です。コメディかと思ったらブラックコメディでした。少し前に話題になった美男美女のアイドルをそろえて視…

All our yesterdays

「ヴィクトリア女王 最期の秘密 (Victoria & Abdul)」観ました。 ヴィクトリア女王と、インド人の従僕アブドゥル・カリムのお話です。19世紀後半の、イギリス統治下のインドを、イギリスの視点から描いた映画です。 18世紀以降のイギリスは破竹の勢いで世界…

天の向こう側

「アド・アストラ (Ad Astra)」観ました。 ブラッド・ピットにトミー・リー・ジョーンズという一流の役者が主演で、映像の作りこみもばっちりです。宇宙の彼方に消えた研究者の父を探しに、同じく宇宙の彼方まで出かける物語で、名優の演技とシリアスな劇伴…

魂の駆動体

「フォードvsフェラーリ (原題:Ford v Ferrari)」観ました。 面白かった!2020年のスタートを切るいい映画でした。「フォードvsフェラーリ」ってタイトルで言うほどフェラーリはそんなに存在感なかった気がするけど(^^;; まず目を引くのがクリスチャン・ベイ…

史実とフィクションのあいだ②

「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり (The Aeronauts)」観ました。 1862年、日本が幕末期だったころのイギリスで、気象を研究するために気球に乗って空を飛ぶ実話を題材にした話。主演はフェリシティ・ジョーンズです。「ローグ・ワン」「イン…

史実とフィクションのあいだ

「ビリーブ 未来への大逆転 (On the Basis of Sex)」観ました。 1970年代のアメリカが舞台で、のちにアメリカの最高裁判所の判事になる、実在の女性弁護士ルース・ベイダー・ギンズバーグさんの活躍を描く映画です。「ローグ・ワン」で主演だったフェリシテ…

神がそれを望んでおられる

「2人のローマ教皇 (英語原題:The Two Popes)」観ました。 Netflix映画です。Netflix映画は製作と制作が一つの会社の中で行われているせいか、企画の作りこみが甘い作品がときどきあるのですが、この作品は面白かったです。映画館で上映しても鑑賞に堪えら…